こんにちは。creava代表 みっちゃん【Webコンサルタント】(@miya_creava99)です。
Appleの開発者向けイベント「WWDC 2018」で発表されたITP2.0について、ウェブ広告を扱うマーケターは押さえておきたいトピックスです。
発表された当時はウェブマーケ業界でかなり騒がれていました。ウェブマーケターなるものITP2.0っておいしいの?ということは許されないので、わかりやすく説明します。
Contents
ITP(Intelligent Tracking Prevention)2.0とは?
AppleはMacOSやiOSに標準でインストールされるブラウザ「Safari」のセキュリティ機能を強化すると発表しました。
その強化がリターゲティング広告やウェブトラッキング測定に影響を与えます。
ITP1.0からITP2.0における強化ポイント
AppleのセキュリティエンジニアJohn Wilanderさんがブログにまとめています。
- 3rd party CookieがITP1.0の24時間保持からITP2.0でその場で破棄されるように変更
- ユーザ許諾があればStorage Access APIで1st party Cookieに情報の書き込みが可能
- ユーザ許諾はサイトごとに必要
- 訪問したページのURLからドメイン以外が削除
- リダイレクトによりTracker Collutionでユーザ特定をITP2.0が検知、データ削除
Cookieについておさらい
Cookieとはウェブブラウザでサイトを閲覧したときにデータを一時的に保存しておく仕組みのことです。
Cookieはインターネット広告ではとても重要なテクノロジーです。たとえばリターゲティング広告のほとんどがユーザを追跡するためにCookieを利用しています。
1st party Cookieと3rd party Cookie
Cookieは1st party Cookieと3rd party Cookieがあります。この2つのCookieは発行元がどこのドメインかで分類されます。
あなたは今、当サイト(creava.work)のページを閲覧していますね。
ここで発行するCookieが1st party Cookieです。このページに外部の広告サーバ(example.com)から配信されるバナー広告があったとします。
そのバナー広告を通じて発行されたCookeが3rd party Cookieです。
Cookieには有効期限がある
Cookieには有効期限を指定することができます。
- 有効期限を指定しない=セッション単位のCookie
- 有効期限を指定する=有効期限がきれるまでCookieが付与される(明示的な削除をした場合は除く)
Cookieはブラウザごとに発行されます。
有効期限が指定されていたとしてもPCとスマートフォンといった別デバイス、別ブラウザからの閲覧は別ユーザとしてCookieが発行されます。
ネット広告にはCookieが利用される
インターネットで広告を配信する上で、広告を掲載するサイトに合わせて広告を掲載しても、サイトに訪問して閲覧しているユーザの趣味嗜好と一致しているとは限りません。
人によっては映画が好き、旅行が好き、ゲームが好き、スポーツ観戦が好きかもしれませんね。
そこで広告を扱う企業はユーザに対して広告を配信するためにCookieを使いました。
Cookieにユーザが訪問したサイトの情報を保持することでユーザの趣味嗜好を収集し、そこから最適な広告を配信する仕組みを開発しました。
リターゲティング広告
リターゲティング広告がまさにこの仕組みを活用しています。
自社サイトにアクセスしたユーザにCookieを付与すれば、別のサイトに訪問したときにCookieを使って自社の広告を配信することができます。
商品やサービスを売りたい企業にとっては見込みのあるユーザに絞った広告アプローチができ、大きなメリットがあります。
ですが、ユーザの目線から考えてみてください。今アクセスしているサイトとまったく関連性のないサイトの広告が表示されたら気味が悪いと感じますよね。
Appleはこのような広告に対するユーザの不満に対して、Cookieを消してしまえばいいという発想でITPを考案しました。
アフィリエイトASP各社のITP2.0対応状況まとめ
ブログをアフィリエイトで収益化している場合、ITP2.0の影響で収益が0になるのでは?と不安に思っている方もいすよね。
A8.netやafbのようなアフィリエイト広告を提供しているASPではITP2.0の対応状況を公開しています。
ITP2.0がやってきた|国内アフィリエイトASPの対応状況まとめGoogle広告のITP2.0対策まとめ
Webマーケターがネット広告と聞いて一番に思い浮かべるのはGoogle広告ですよね。
Google広告も何もしなければITP2.0の影響で計測を正しく行うことができません。
関連記事:Google広告のITP2.0対策はコレだ|Webマーケターが今すぐやるべき3つの方法
Google広告のITP2.0対策はコレだ|Webマーケターが今すぐやるべき3つの方法GoogleアナリティクスのITP2.0対応
ユーザのプライバシーに配慮した大幅なセキュリティ機能の強化でiPhoneのシェアが高い日本での影響は大きいです。広告・アクセス解析のコンバージョン計測が困難になりますが、Googleアナリティクスと連携することで回避することができます。
・GoogleAnalyticsが、解析用に発行するCookieのオーナーは、Googleサーバではない。
・Cookieのオーナーは、GoogleAnalyticsのタグを実装しているWebサイトである。
・GoogleAnalyticsのCookieは、Googleサーバとの通信時には、送信されない。
また、Googleアナリティクスの管理画面から発行されるグローバルサイトタグを埋め込むことでもCV含め問題なく計測が可能です。
まとめ
今回はAppleが発表したITP2.0について説明しました。
アドテクノロジーの進歩で、効率・効果の高い広告配信が実現できるようになりましたが、やりすぎると気味悪いユーザ体験につながります。
今後は個人情報の扱いもより厳しくなると想定できますので、注目しておきましょう。